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[第7頁] 「MOTTAINAI」の心 南部箒

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岩手県のユニークな企業の一つに九戸村の有限会社「高倉工芸」がある。日本テレビの「笑点」50周年記念の放送(2016年5月8日)で、同社の製品が座布団10枚の賞品になった。賞品名は「50万円の南部箒で50周年の舞台を掃除」。出演者も視聴者も価格を聞いて「えー」。高価格品にもかかわらずテレビで紹介され、販売は好調。商品によっては注文から3年待ちだという。

先日盛岡市内で即売会がありのぞいてみた。数千円というお手頃価格のパソコン用小箒を買おうとの目論見だったが、残念ながら売れ切れ。代わりに2万円(税別)の和洋服用ブルーム(ブラシ)を購入した。

使ってみた。長さ約25センチで幅約10センチ、穂先の強いちぢれが洋服や車のシートのごみをしっかり取ってくれる。なかなかいい。80代後半の母親に見せたところ「こんな箒は家にもあった」と懐かしがったが、値段を言うとびっくり。「そんな高いものなんに使うの」とあきられた。「小さな箒に2万円?」。買うとき少し迷った。

でも、丁寧な手作りの伝統工芸品は、使い勝手がいいばかりではなかった。子どものころ親のまねをしてやったことを思い出させた。例えば自転車。スポーク1本1本を丁寧に磨き、潤滑油をしっかり塗って手入れと修理を繰り返しながら長く使った。貧乏で物も少なく、与えられた物を大事に使った。今の自分の子どもたちは手入れもせず、故障すると新しいのがほしいといい。親も買い与えてしまう。

県北の農家ではかつて農閑期に箒づくりをし、副収入としていた。その伝統の技を絶やさず、工夫を加え今の「南部箒」がある。高倉工芸の商品は「MOTTAINAI」の心も今に伝えている。

(K.Jobs)

2016.08.05更新

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