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[第33頁] 多様性のスクラム~ラグビー日本代表の強さ

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「145対17」。これは1995年、南アフリカ共和国で開催された第3回ワールドカップの試合結果だ。予選リーグで日本が対戦したのはニュージーランド“オールブラックス”。今も昔も世界ラグビーをけん引する強豪だ。この大会で優勝したのは地元南アの“スプリングボクス”。オールブラックスは準優勝だった。

20年後の2015年、イングランドで開かれた8回大会。世界ランク13位の日本代表“ブレイブブロッサムズ”は同3位のスプリングボクスを34対32で破り、「史上最大の番狂わせ」を演じて、開催地の地名から「ブライトンの奇跡」と呼ばれた。

4年後の今年、地元開催の9回大会で日本は同2位のアイルランドを19対12で撃破。実況のアナウンサーは「もうこれは奇跡とは言わせない」と絶叫した。

W杯に合わせたのか8月「国境を越えたスクラム」(中央公論新社)が出版された。著者は山形県生まれ東北学院大卒のノンフィクションライター山川徹。今大会の日本代表31人中15人いる外国出身選手にスポットを当てた。その1人が主将のリーチ・マイケル。ニュージーランド出身ながら高校時代から過ごす日本で世界レベルの選手に進化した。著者は「取材を通じて、積極的に留学生を受け入れるべきだと考えるようになった」と話す。リーチ主将は「君が代」を理解するため「さざれ石」を見に宮崎県の大御(おおみ)神社に行き、俳句をたしなむ。日本人より日本文化を尊重しているのだが、「グランドの上では日本人らしくないように気をつけている」という。それはこんなたとえになる。「日本人は『ドンマイ、ドンマイ』とチームの和を尊びミスの原因を追究しない。それでは強くならない。自分は厳しくその原因を指摘する」。価値観が違う日本人と海外出身の選手が一緒にスクラムを組むことで大きな力が生まれる。

国内には約300万人の外国人が暮らしている。ラグビーの日本代表の躍進は、これからも増え続ける在留外国人とどう暮らしていくのか、そして多文化共生や多様性が生み出す力をどう生かして国や地域、そして会社などの組織を強くしていくのか。そんなことのヒントにもなりそうだ。

(K.Jobs)

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