ワーキングホリデーと聞くと何を思い浮かべるだろうか?多くの方は「異文化体験」や「語学習得」を目的に海外で暮らし、滞在費は現地で仕事して賄う事業を思い浮かべるだろう。
岩手県が本年度始めたのは「ふるさとワーキングホリデー」。総務省が2017年1月から開始した事業で「都市の若者たちが一定期間地域に滞在し、働きながら地域の人たちと交流し、学びの場などを通じて旅行などでは味わえない地方体験をすること」などが目的だ。期間は2週間以上4週間まで。宿泊費の一部や交通費(宿泊場所から勤務地まで)が補助される。岩手県でも今年度から受け入れを開始した。参加者は学生や社会人など多岐に渡る。
先日「ワーホリ!いわて」参加者の休日アクティビィティに同行した。宮沢賢治記念館、南部鉄器の及源鋳造、中尊寺などを巡る「県南ツアー」で、昼食は昭和のテイストを残す花巻・マルカンデパート大食堂。名物ソフトを食べながら参加者と話した。東京の大学から参加した2人は大手企業への就職が決まっている4年生。「最後の夏休み。一度も来たことがない岩手で暮らし見聞を広げたかった」と参加動機を話す。
2018年度は北海道、福島県、石川県、福井県、岐阜県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県海士町、岡山県、山口県宇部市・岩国市、愛媛県、高知県、福岡県、熊本県、宮崎県の16都道府県がワーホリを実施。2019年度は岩手県のほか、秋田県大館市、新潟県上越市、長野県長野市、奈良県川上村、鹿児島県なども参戦し、UIターンも見越し自治体間競争も激しくなりそうだ。
マルカン大食堂で学生からこう聞かれた。「私たちにはすごいメリットがあるんですが、受入企業にはどんなメリットがあるのですか」。戦力になる前に任期満了となり帰ってしまうことにちょっぴり負い目も感じているようだった。受入企業には繁忙期の人材確保のほか、メリットは多くないかもしれない。ただ、参加者は職場の同僚や余暇で出会った市民らとの交流で本県の魅力に感動したと感想を寄せている。
「良かったな岩手」と心に刻んでもらうことが「関係人口」以上の何かを本県にもたらしてくれるはずだ。「未知の国いわて」の魅力度は意外に高い。ここは県内企業の協力でどんどん学生らを受け入れ、岩手らしいおもてなしをして都会に帰したい。
(K.Jobs)
2019.9.10更新