いわてで働こう推進協議会(会長・達増知事)が公募した「いわてで働こう」推進運動のシンボルマークが県民投票で決まった。岩手県の地図を一枚の葉に見立て、人形(ひとがた)の葉脈が力強く広がる。鮮やかな緑色は、豊かな自然と首都圏在住者らから見ての岩手の潜在的魅力を表現している。バッジやクリップなどとしての利用にもぴったりだ。岩手県の形を葉に見立てる発想がいい。ものの見方がユニークな宮沢賢治もうなりそうだ。
この図案、筆者を約40年前の青春時代に引き戻す。当時わたしは大学でオオバコを研究していた。オオバコは人の踏みつけなどで圧力を受ける場所で優勢に生育する雑草で、専門的には「踏圧群落」に分類される。子どものころ、葉柄から繊維を引き出し、引っ張りあった遊びをした人もいるのではないか。大学ではオオバコがなぜ踏圧に適応しているのかを調べた。鉢植えにし、作った器具で鉢ごとに回数を決め毎日上から叩いたりした。そして葉を薬品処理し、プレパラートにして葉脈の分岐数を調べ、踏圧への適応を数値化しようとした。光合成で得た栄養や根が吸い取った水が通るのが葉脈。オオバコは強い葉脈を持ち、その密度を高めることで踏圧に適応していると考えた。
オオバコの別名は車前草という。牛車や馬車などの轍(わだち)に生えていたことから名づけられた。キャリア教育などで使われるキャリア(career)は、その轍が語源といわれている。シンボルマークの葉形はオオバコとは少し違うが、そんな意味でも岩手県のキャリア運動のシンボルマークとして最適なものが選ばれたのではないだろうか。
(K.Jobs)
[いわてで働こうシンボルマーク]
2016.07.08更新