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[第26頁] 街の本屋の小さなポップが日本を変える?

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「思考の整理学」(ちくま文庫)が東大生や京大生に読まれている。著者は御茶の水女子大名誉教授で英米文学者の外山(とやま)滋比古さん。初版は1983(昭和58)年で86年に文庫本になった。同書は2008年東大生協文庫売り上げ1位になり、最近では2016、17年にもトップになるなどここ10年で7度首位になった。京大でも同様の傾向で、文庫の帯には「東大京大で一番読まれた本」という惹句が書かれ、一般読者の興味もひき、225万部超えの大ロングセラーとなっている。

同書には「これからの時代で必要とされるのはグライダー人間ではなく自力で飛び回れる飛行機人間である」「思考を整理するうえで寝かせることほど大事なことはない」「必要なもの以外は忘れてしまうべきだ」など筆者の経験に基づいた、知識偏重ではなく自らの思考を大切にした知的な生活のヒントが詰め込まれている。

出版当初から息の長い売れ方だったが、東大・京大生協に飛び火したきっかけは、盛岡市内の本屋さんの力だった。2007年「さわや書店」の店員が店頭ポップに「“もっと若い時に読んでいれば…”そう思わずにはいられませんでした」と書き、人気が再燃し全国に広がった。この書店は、本の内容を一切知らせず売り出した「文庫X」をベストセラーにしている。「思考の整理学」の文庫本をセールし始めた時期、さわや書店の店長は現在一関図書館副館長の伊藤清彦さん。ポップを使った売り場づくりなど初代の「カリスマ店員」と呼ばれた方だ。その指導で文庫本を担当したのは松本大介さん。惹句は、低迷していたちくま文庫の売れ行きをなんとか伸ばしたいという汗と涙の結晶だった。

もし「思考の整理学」のポップがつくられなかったら。東大京大でこの文庫本がベストセラーになることもなかったかもしれない。この本を読み、知識偏重から抜け出した学生も少なくないはずだ。その中にはこの国を動かす立場になった方もいるだろう。盛岡の街の本屋の小さなポップがこの国の行く末に影響を与えたと思うとちょっと嬉しく、そして誇らしくなった。

(K.Jobs)

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