ジョブカフェいわてが県内事業所158社を対象にした新卒採用(高校卒から大学院修了まで)の実績調査で、約8割の企業が予定していた採用数を確保できていなかったことが分かった。県内企業にとって厳しい人材確保環境が続いている状況が明らかになった。反対に予定数を確保できた事業所は2割で、日ごろから業務改善など働きやすい職場づくりに力を入れている企業が目立った。
調査は2018年11月末に実施した。158社のうち「予定していた人数を確保できた」のは33社で残り125社、79.1%は「確保できなかった」と答えた(図1)。確保できなかった企業のうち「採用実績が予定数の半数にも満たない」と回答したのは82社65.6%で「1人も採用できなかった」と答えたのが41社32.8%だった(図2)。採用実績を採用予定数で割った充足率の平均は32.0%だった。反対に予定数を確保できた33社のうち、充足率が100%を超えたのは30社で90.9%。充足率100~124%が一番多く25社。125~149%が1社、150~174%と200%以上が各2社だった。
調査時点での採用活動の状況を聞いたところ、予定数を確保できなかった125社のうち、いったん採用活動を終了したのは24社19.2%、採用活動継続中と答えたのは101社80.8%だった。予定数を確保した企業のうちでも9社27.3%は採用活動を継続している。
予定数を確保できない企業の割合は昨年度調査に比べ2.9ポイント高くなっている。今季県内では、大手半導体メーカーが高校卒から大学院修了者まで多数の求人を行ない、県内の雇用市場に大きな影響を与えた。そうした中いわてで働こう推進協議会など関係機関、団体が地元定着やU・Iターンの促進を目指して取り組みを強化した。その結果、高校生の地元定着率は2018年11月時点で、前年比3.7ポイントアップの67.6%に。専修学校を除き大学や短期大学も地元定着に明るい兆しが見えてきている。
厳しい環境の中でも十分な人数を採用できた企業は33社あった。業種でみると、情報通信業や製造業が多いが、建設業や不動産業、学術研究専門・技術サービス業なども入っている。これらの企業に共通するのは日ごろから「魅力的で働きやすい職場を」を目指し、さまざまな取り組みを実行していることだ。業務改善など働き方改革を取り入れ、その上でリファラル採用(社員紹介採用)など新たな手法も含め利用可能なリソースを使い人材確保に全社で取り組む。「晴れ間が見えない」企業には今、そんなことが求められているのではないだろうか。
(K.Jobs)
2019.2.6更新