先日、旧知の中学校教諭と懇親を深めた。杯を傾けながら先生はこんなことを言い出した。「東京に学習旅行に行くため、見学したい職場の希望をとったらこんな職業が候補になっちゃいました」という。生徒たちが希望したのは「ユーチューバ―」。ネットに面白い動画を載せ、アクセス回数を増やすことで広告収入を得ている人たちだ。「HIKAKIN」という人気者は年収1億円といわれている。パソコン・スマホ世代の中学生にとって今や一番身近で憧れの職業の一つになったようだ。
そんな「いまどき」の子どもたちをターゲットに作ったのか「日本の給料職業図鑑」(給料BANK著、宝島社、税別980円)という本が売れているそうだ。「この職業のお給料は」「その職業に就くためには」という疑問に対する答えをRPG(ロールプレーイングゲーム)風のイラストや文章で表現する。そのなかに「YouTuber」があった。職業の説明は「新ジョブ。YouTubeという動画サイトで活躍するタレント。ちょっとした動画で大ブレークする」。平均月収は634万円という。「売れっ子は1千万を超すが、駆け出しだと全然稼ぐことができない」とも。
1920(大正9)年の国勢調査で国民が申告した職業は約3万5千。厚生労働省編職業分類職業名索引(独立行政法人労働政策研究研修機構、2011年改定版)は1万7,209の職業を掲載している。自己申告とお役所の分類をそのまま比較はできないが、その差約1万8千。戦後、「株式会社日本」が高度経済成長を実現。サラリーマンの登場で職業の多様性が失われていったことは間違いない。今テクノロジーの進化などによって無くなる職業が話題になっている。でも一方で新たな職業も生まれている。時代とともに暮らしが変わり、職業も変遷していく。
(K.Jobs)
2017.05.23更新